レンズ加工とは?レンズの種類とダイヤモンド工具の使用例まとめ

2024/06/05 コラム

レンズ加工はその名の通り、レンズ製造における切削や研磨などの一連の加工の総称です。デジタルカメラの撮像素子(CMOS)の高精細化や、スマートデバイス向けレンズの需要増加にともない、レンズに求められる性能も年々向上しており、その加工も高度化しています。
このコラムでは、近年ニーズが高まっているダイヤモンド工具を使った、レンズ加工における使用例についてご紹介します。

レンズの種類と加工方法

民生品や産業部品に使われるレンズには、大きく「ガラスレンズ」と「樹脂レンズ」があります。
それぞれ用途や求められる品質、コストなどによって使い分けがされています。

ガラスレンズ

ガラスレンズ

ガラスレンズは、合成石英などのインゴットを削り出してつくられるレンズです。 光透過率の高い樹脂が開発されるまで、レンズといえばガラスレンズが一般的でした。強度が高く、耐熱性・耐環境性能もよいため、多くの産業で利用されています。
近年では、胃カメラ用の直径1ミリ以下の小型レンズや、航空宇宙用の大口径レンズ、レンズの球面収差(ズレや歪み)を補正する非球面レンズなど、そのニーズも多様化しています。

ガラスレンズの加工工程は、「荒削り」「研磨」「芯取り」に大きく分けられます。
レンズ表面の粗さや偏芯がレンズの性能に大きな影響を与えます。また光透過率の高いガラスほど、熱や衝撃に弱いため、加工には高い加工技術が求められます。

樹脂レンズ

樹脂レンズ

樹脂レンズ(プラスチックレンズ)は、光透過率、屈折率の高い樹脂の開発と、射出成形技術の向上によって誕生したレンズです。身近なものには、コンタクトレンズがあげられます。
近年では、スマートフォンなど電子デバイス向けのカメラレンズの需要が高まっており、さまざまな樹脂レンズが量産されています。また一部では、生体適合性樹脂を使った医療用の眼内レンズとして使われるなど、その用途は広がっています。

樹脂レンズは金型で成形されるため、形状の自由度が高く、量産に向いているのが特徴です。
求められる精度もそれほど高くない製品が多いため、ガラスレンズに比べると加工の難度は下がりますが、金型の加工には高い加工技術が求められます。

ダイヤモンド工具の使用例

高い技術を必要とするレンズ加工ですが、そのさまざまな工程で、東京ダイヤモンド工具製作所の「ダイヤモンド工具」が使用されています。
ダイヤモンド工具はダイヤモンドの粒を切れ刃にした研削ホイール・切削工具です。ダイヤモンドの“地球上で最も硬い”特性を生かして、一般工具では加工が難しいガラスレンズや樹脂レンズ、金型の加工に使用されています。

ガラスレンズにおける使用例

ガラスレンズの芯取り

ガラスレンズの芯取り

芯取りは、レンズの偏心(光軸のブレ)をなくすため、研磨後に外周を削る加工です。非球面レンズや半導体露光装置向けのレンズでは、交差±0.005mm程の高い精度が求められますが、そこで使われているのが、光学レンズ芯取り用ダイヤモンドホイールです。
東京ダイヤモンド工具製作所では、レンズエッジのピリ、カケを抑えた芯取りが可能で、立ち上がりのきつい形状でも、レンズの焼け発生を抑制することができます。

◎芯取りの詳細はこちら

ガラスレンズ金型の加工

ガラスレンズ金型の加工

非球面ガラスレンズの成形金型に使われるバインダレス超硬合金は、従来の超硬合金を上回る硬度と強度を誇るため、通常の工具では加工効率が低く現場の課題となっていました。そこで使われているのが、ダイヤモンド軸付ホイールです。
東京ダイヤモンド工具製作所では、斜軸研削・自由曲面研削・スリーブ金型加工用など、さまざまな金型に合わせた小径軸付ホイールの製作が可能です。

◎金型加工の詳細はこちら

樹脂レンズにおける使用例

樹脂レンズ金型の加工

樹脂レンズ金型の加工

スマートデバイス向けの樹脂レンズは、大型化と広角化が進んでおり、その金型に求められる精度も年々上がっています。樹脂金型に使われるニッケルは、加工の難しい難削材としても知られていますが、そこで使われているのが、単結晶ダイヤモンドバイトです。
東京ダイヤモンド工具製作所の単結晶ダイヤモンドバイトは、刃先輪郭度が高く、刃先やすくい面にスクラッチがほとんどないため、高精度な金型の加工が実現します。

◎金型加工の詳細はこちら

樹脂レンズの加工

樹脂レンズの加工

高い品質や透明度が求められる樹脂レンズは、削り出しで製作されることもあります。精密な樹脂レンズの凹曲面加工では、刃先の先端以外がワークと干渉しないよう、刃先形状の工夫が必要になりますが、そこで使われているのが、単結晶ダイヤモンドバイトです。
東京ダイヤモンド工具製作所では、ワークに刃先が干渉しない形状の切削工具の設計・製造ノウハウを豊富に蓄積しています。

◎樹脂レンズ加工の詳細はこちら

眼内レンズの加工

眼内レンズの加工

高齢化とともに需要が増えているのが、白内障手術で使われる眼内レンズです。高品質な眼内レンズは削り出しで製作されていますが、そこで使われているのが、単結晶ダイヤモンドエンドミルです。
東京ダイヤモンド工具製作所の単結晶ダイヤモンドエンドミルは、シャープな刃先で面粗さを抑えた加工が可能で、少ない工程で透明度の高い高精度な加工が実現します。

◎眼内レンズ加工の詳細はこちら

レンズ加工とダイヤモンド工具まとめ

東京ダイヤモンド工具製作所では、今回ご紹介した使用例をはじめ、ガラスレンズ・樹脂レンズ加工に役立つ、各種ダイヤモンド工具に実績があります。
レンズ加工の研削加工や工具の選定でお困りでしたら、ぜひ一度東京ダイヤモンド工具製作所までお問い合わせください。